RCEPは日本国の対中経済制裁オプションを阻害するのでは
しばしば通商政策とは、経済のみならず政治的な目的を実現するための手段としても使われてきました。アメリカが今日、人権侵害国であり、かつ、無法国家でもある中国に対して厳しい経済制裁を課しているのも、通商政策が有効な政治手段であることをよく理解しているからです。こうした観点から通商政策を眺めますと、今般の参加各国の首脳によるRCEP協定への署名は、日本国の政策手段に制約を課すリスクがあります。戦後にあって欧州経済共同体から出発したEUは、冷戦崩壊後にあっても決してロシアを加盟国として招き入れようとはしていません。資源大国であるという同国との間の相互依存の可能性を考慮しますと、ロシアもメンバー国となってもよさそうなものなのですが、むしろ、エネルギー分野にあってロシア依存を低めようとする方向にあります。その理由は、ソ連邦...RCEPは日本国の対中経済制裁オプションを阻害するのでは