自由貿易主義とグローバルズムが’別物’である問題
今日、多くの人々は、グローバリズムは自由貿易主義の延長線上にある、あるいは、前者は後者の拡大版であると考えているようです。実際に、両者を明確に区別する政治家は少なく、二国間、あるいは、多国間で自由貿易協定や経済協力協定などの通商協定を締結するに際しても、古典的な自由貿易論を以って相互利益を国民に説いています。しかしながら、両者は、似て非なるものなのではないかと思うのです。EUなどを見ましても、1957年のEEC設立以来、‘財’、‘サービス’、‘資本(マネー)’、‘人(労働力)’といった移動要素は同列に扱われており、この表現からしますと、主として貿易を意味する‘財’と他の3つの要素との間に然したる違いは見受けません。貿易に際して各国が設けている関税が撤廃されますと、‘財’が国境を越えて自由に移動するようになります...自由貿易主義とグローバルズムが’別物’である問題